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大学研究室の取り組みを紹介

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2020年2月に、私を含め共同研究のメンバーで執筆した「福島県在住の小中学生を対象とした森林体験を伴う自然体験活動が生きる力と自然との共生観に及ぼす効果」という論文が、日本森林学会誌102巻1号に掲載されました。

この論文は、森林体験を伴った自然体験活動の教育的効果を、これまで行われてきた環境教育や野外教育の評価方法を応用して、新しい分析を試みたものです。

アウトドアでの体験活動の内容は幅広く、活動事例は数多くありますが、教育的な活動の成果を評価する方法の設定がとても難しいと言われています。この研究は、心理学分野での手法を応用し、複合的な評価を行うことで、科学的なエビデンスを提示することに成功しました。あらためて、自然体験活動の教育的価値が科学的に認められたと言えます。また、この研究の対象となった活動には、北海道のアウトドア業界の多くの方々が関わっていました。北海道の各地をフィールドとした実践的教育活動の成果が、このような科学論文としてまとめられたということは、北海道アウトドアネットワークにとって大きな成果と言えます。

◯子どもがもつ「自然との共生観」を把握するための質問項目(尺度)を作成。

それは、「自然への親和性」、「自然と生命の関係性」、「自然への興味と配慮」という3つの要素から構成されることがわかりました。これまで行われてきた研究には、自然体験活動を体験した子どもが、いかに自然に対する意識や感覚を身につけるかなどを把握するものが、あまりみられなかったので、今回の研究でその作成を試みました。

◯自然体験活動を体験すると、子どもの「生きる力」と「自然との共生観」が高まる

生きる力に関してはこれまでも多くの研究で取り上げられていて、今回も同様の結果を得ることができました。分析の方法として、これまでの問題点を改善するべく、新しい手法を試みました。自然との共生観に関する効果は、新しく得られた知見でした。

◯自然体験活動の教育的効果について、そのプログラムの実施期間や参加した子どもの状況によって、得られる効果に違いがみられるかを検証

実施期間による比較では、2週間程度のプログラムが最も効果的であることがわかりました。また自然に関する経験が少ない子どものほうが、多い子どもよりも、体験による効果が高まりやすいということがわかりました。

共同研究メンバー:山田亮、白岡千帆里、能條歩


山田亮
北海道教育大学岩見沢校准教授
北海道アウトドアフォーラム専門委員長

兵庫県神戸市出身、山梨大学大学院で野外教育を学ぶ。2003年より北翔大学、2010年より北海道教育大学岩見沢校アウトドア・ライフコースに所属し、野外教育、自然体験活動のプログラム開発と指導者養成をテーマに、実践や研究を行っている。近年は、日本野外教育学会や日本森林学会の運営、次世代のアウトドア指導者を発掘するJAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD(JOLA)の運営などに携わっている。

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