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[事業報告]北海道アウトドアフォーラム2020

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約9分

はじめに

6年目にして初のオンラインフォーラム

北海道知事による「新型コロナウイルス緊急事態宣言」が発表されたのが(2020年)2月28日。4月には政府による緊急事態宣言の対象が全国に拡大されました。7月に行われた専門委員会では、その後の経過も踏まえてフォーラムの開催を協議した結果、オンラインで実施する方針が出されました。
2018・2019フォーラムを通じて2泊3日での開催に手ごたえを感じていましたが、今回初めてのオンライン、しかも1日での開催です。参加型、地域や業種を超えたつながりといった、北海道アウトドアフォーラムの良さをどれだけ実現できるかが大きな課題でした。

2020テーマ「災害や感染症とともに生きる北海道アウトドア」

ここ数年の北海道アウトドア業界を取り巻く状況は、4年前の豪雨被害、2年前の胆振東部震災、そして今年のコロナ禍と、2年おきに大きな災害や感染症に見舞われ、大きなダメージを受けています。
特に今回は北海道だけでなく世界的に被害が拡大し、アウトドアや観光を含む幅広い業種で長期にわたりダメージが継続しています。そこで、これからも起こり得る大規模な災害や感染症にどう対応していくのかが北海道アウトドア業界の命題であると考え、今回のテーマを「災害や感染症とともに生きる北海道アウトドア」としました。

実行委員会に部会制導入

2020フォーラムの新たな取り組みとして、より持続的・組織的な運営体制を構築し、多様なバックボーンを持つ委員が、これまで以上に参画できる形を目指しました。その結果、国立日高青少年自然の家(主催者)、専門委員会、実行委員会、事務局という形で運営体制を整理。実行委員会にはコンテンツ部会、当日運営計画部会、情報発信部会を設け、それぞれプログラムの企画・コンテンツの依頼調整、企画の具現化・運営マニュアルの作成、フォーラムの情報発信・成果普及という役割を持たせました。
部会制導入の成果として、オンラインの利点を活かした豪華なコンテンツラインナップや、きめ細やかな当日運営が実現。またウェブサイトやロゴ制作など、フォーラムの成果の普及についても検討が進められており、委員の参画という点ではこれまでで最も充実したフォーラムになりました。

道内外から150名が参加

2020フォーラムは無料で誰でも参加可能な第1部(基調講演、トークセッション)と、有料で道内の関係者に対象を絞った第2部(選択ワークショップ、全体ワークショップ)という2部構成で実施。オンラインの気軽さもあり、初参加や遠方の方が参加しやすかったという声をいただきました。
結果として、1日の開催にもかかわらず、第1部・第2部合わせて道内外から150名が参加。また、参加申込みおよび参加費の支払いにおいて、オンライン決済サービスを導入しました。

プログラム

  • 基調講演(Youtubeライブ)
  • トークセッション(Youtubeライブ)
  • 選択ワークショップ(ZOOM)

基調講演

  • 「ハワイから学ぶコロナ対策と観光ブランディング」講師:岡田 悠偉人 氏(ハワイ大学 疫学専門家)
  • 「コロナ禍における観光庁の取り組みとATWSについて」講師:安田 稔幸 氏(北海道運輸局観光部 部長)
  • 「ポストコロナのビジネスモデルを考える」講師:鈴木 宏一郎 氏(株式会社北海道宝島旅行社 代表取締役社長)
  • 「持続可能なアウトドア事業経営と多角的地方創生」講師:横山 三四郎 氏(株式会社チョモランマ 代表取締役)

第1部の内容は北海道アウトドアフォーラムのYouTubeチャンネルで視聴が可能です。

2020フォーラムのテーマ「災害や感染症とともに生きる北海道アウトドア」に関連して、医療・観光行政・旅行業・アウトドア事業の専門家および事業者4名による基調講演を実施。それぞれの専門的見地から、コロナ禍の影響や対策、今後の見通しや取り組みについてお話しいただきました。
岡田氏の講演では、ハワイの事例を基に「感染症対策の徹底は費用対効果が高いブランディングにつながる」「2021年末にはコロナ禍が落ち着き、アウトドアや観光・イベントが活性化する」といった見通しが伝えられました。続いて、安田氏と鈴木氏から世界的なアドベンチャートラベルの潮流や、2021年9月に北海道で開催されるATWS(アドベンチャートラベルワールドサミット)の紹介があり、最後に横山氏から事業に取り組む積極性やチャレンジ姿勢の重要性が伝えられました。4人の講演を通じて、現在厳しい状況に置かれている多くの参加者が勇気づけられたと思います。

トークセッション「北海道アウトドア業界のレジリエンス」

トークセッション「北海道アウトドア業界のレジリエンス」
パネリスト:基調講演講師4名(岡田氏、安田氏、鈴木氏、横山氏)
ファシリテーター:ロバート トムソン 氏(北星学園大学 専任講師/The Hokkaido Wilds 主宰)

トークセッションでは「北海道アウトドア業界のレジリエンス(回復力・対応力)」をテーマに、講師4名と進行役のロバート氏の5名で「感染防止対策と観光促進の両立について」「長期的なレジリエンス獲得のためのリスク分散」「持続可能な北海道のアウトドアのために」といった議題について意見交換が行われました。
北海道のアウトドア業界が抱える、目の前の大きな課題から長期的な課題まで幅広い視野で議論が進められ、参加者からの質問も積極的に取り入れたことで、一方的でない両方向の意見交換が実現できました。

PRムービー

Adventure Travel Hokkaido
NPO法人モモンガくらぶ
子どもゆめ基金
然別湖ネイチャーセンター
そらぷちキッズキャンプ
72時間サバイバル教育協会
なまら北海道
ハワイ州観光局
富良野自然塾
HOA北海道アウトドアアドベンチャーズ
(10団体・タイトル)

開会の前および基調講演とトークセッションの合間に、各10分以内のPRムービーを配信。北海道の美しい風景や魅力的なアクティビティの映像にワクワク感が高まり、フォーラムの雰囲気を盛り上げてくれました。

選択ワークショップ

第2部には参加者・スタッフ合わせて99名の道内アウトドア関係者が参加しました。選択ワークショップでは、防災や災害時対応、自然体験活動とITなど、全10タイトルのワークショップを実施。30分という限られた時間に加え、オンラインワークショップという制限された環境の中で、様々な分野の情報提供や意見交換が行われました。

初の英語ワークショップも実施され、フォーラムの国際化という点でも新たなチャレンジになりました。

①-A「防災拠点としての子ども園運営について〜胆振東部地震の事例から〜」
ファシリテーター:井内 聖 氏(学校法人リズム学園 学園長)
①-B「インバウンドの潮流・中国&東南アジア市場の可能性とその対策」
ファシリテーター:高橋 正昇 氏(シーダースコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長)
①-C「災害や感染症に対してどの様に対応し、どう今後に生かすのか?」
ファシリテーター:新野 和也 氏(NPO法人どんころ野外学校 ガイド・インストラクター)
①-D「バーチャルで自然体験はどう拡張できる?~ネイチャーゲームを足がかりに」
ファシリテーター:能條 歩 氏(北海道教育大学岩見沢校 教授/日本環境教育学会北海道 支部長)
①-E「ITを活用したキャンプ場運営異業種からの転職、実際にキャンプ場を自分で作ってやってみた!」
ファシリテーター:山口 雅嗣 氏(株式会社TAKIBI/真狩焚き火キャンプ場 代表取締役)

②-A「キャンピングカーを活用したアウトドアネットワーク」
ファシリテーター:阿部 晋也 氏(北海道ノマドレンタカー株式会社 代表取締役)
②-B「災害時に活躍するスマートモデューロ」
ファシリテーター:上田 融 氏(NPO法人いぶり自然学校 代表理事)
②-C「行政と幼児教育・コロナ禍における野外保育」
ファシリテーター:寺岡 祐子 氏(森のようちえん森のたね 代表/中富良野町議会 議員)
②-D「厚真町の震災対応〜大規模非常災害時の子どもの居場所づくり」
ファシリテーター:宮下 桂 氏(厚真町教育委員会 生涯学習課長)
②-E「Short and long term challenges to inbound ski tourism ~北海道のインバウンドスキーツーリズムの短期・長期的課題について」
ファシリテーター:Ronan Maguire 氏(Whiteroom Tours リードガイド)

振り返り・ネットワーキング

1日のプログラムのまとめとして、参加者同士の交流を目的とした全体ワークショップを実施。Zoomのブレイクアウトルーム(小部屋)機能を使用して、オンライン上でランダムに5~6人の小グループを作り、「一番印象に残ったこと」「ヒントを得て踏み出す第一歩」というテーマで意見交換を行いました。
お互いの顔が見えないオンラインセミナーが多いなか、短い時間とはいえ参加者同士顔を合わせて交流し、つながりができるというフォーラムらしさを実現できました。

おわりに

初めてのオンラインフォーラム、1日での開催ということで、限られた時間・手法の中で運営する難しさがありましたが、災害や感染症とどう共存していくかという大きなテーマに対して、様々な角度から情報提供や意見交換ができたと感じています。
準備から当日の運営にあたっては、各部会に所属する委員の多大な協力を得ることができ、実施後の充実感、達成感はこれまで以上に大きなものでした。もちろん課題もありますが、次回以降のフォーラムにつながる内容、チャレンジになったと思います。今回の経験を活かして、2021フォーラムではオンライン・リアルの併用も視野に検討を進めていきます。
3月には今年度のまとめおよび評価の場となる専門委員会を開催し、4月からはまた新たな体制で2021フォーラムの準備に取り掛かります。引き続き多くの皆さまの参加、ご協力をお願いいたします。

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